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この整備作業を実施した。また電池、防蝕亜鉛などの消耗品の交換も行った。
前述したようにIOEB2号機の開発建造でIOEB1号機の不良個所が判明していたので、この点についての修正を行った。交換、修正は1項目ずつ慎重に実施され、その都度データを収得し、正常に作動しているか否かのチェックを行った。その結果、取り付ける予定であった新品の風向風速計が不良であることが分かったが、辛いにもデータ比較較止観測のために全く同じ製品を別途持参し、キャンプ中に風向風速の観測を実施していたことから、このセンサーを取り付けることで対処した。
上記のの整備に要する期間があったため、ガントリークレーンなどの設置は、時間的に余裕を持って実施することができた。4月24日の午前中に、先ず、ガントリークレーン設置場所の積雪を除去し、この際に再設置場所の雪氷観測も実施した。その結果、平均的な積雪量は32cmで海水の厚みは368cmであることが分かった。この日の午後にガントリークレーンほかの準備も終了し、いつで

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写真−7 海氷観測センターの埋め込み作業

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写真−8 再設置終了後のIOEB1号機と著者

も再設置作業を開始できる体制が整った(写真−5)。
再設置作業を26日に実施した。午前9時40分から温水オーガーによる直径96.5cmの再設置用の穴開け作業を開始し(写真−6)、午前11時前にはくり抜き作業を終了した。続いてくり抜かれた海氷をチェーンソーを用いて切断しながら。取り除く作業を行った。午後3時よりシーバート社製のSBE−19型溶存酸素累計付き電気伝導度・水温プロファイラーを用いて深さ150mまでの水温・塩分・溶存酸素の計測を実施した。また、セディメントトラップの採取容器を充填する設置深度の海水を得るのために、ニスキンボトルによる深さ110mの採水も行った。
午後6時より再設置作業を開始した。まず重量250kgのウエイトを海中に降ろし、続いて電磁式流向流速計、セディメントトラップ、電気伝導度・水温計と、順次、海中索でつなぎながら降ろした。午後10時30分には、項上浮体が海氷に開けられた穴の中に鉛直に立って納まった。海水観測センサーの埋め込み作業および気象マストの取り付けは、翌日に実施することにした。
翌27日の朝、先ず役目を終えたガントリークレーンを撤収した。その後、海氷観測センサーの埋め込み作業(写真−7)および気象マストの取り付け作業を行い、続いてこの再設置場所の海氷上から取り除いた積雪を元通りに戻して平坦に均す作業を実施し、すべての再設置作業を終了(写真−8)したのは同日午後2時40分であった。

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写真−9 比較較観測(海洋)。溶存酸素計付き電気伝導度・温水プロファイラー(ド)とセディメントトラップ用採水のためのニスキンボトル

 

 

 

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